絶対に知っておきたいカナダのビザの話

カナダの話

さて、ここからは試験と同じくらい大切なビザのお話を少ししたいと思います。

そもそもカナダで薬剤師になるといっても、その資格に伴ってカナダ政府がビザをおろしてくれるわけではありません。

薬剤師の試験に全て合格してからでも、就労ビザを得られていなければ薬局で仕事ができないのです。

もしもカナダで薬剤師を目指す方で、ビザのことは漠然としかわからない、という方はこの記事を絶対に最後まで読んで自分にあったビザの選択をして時間を無駄にして欲しくないと思います。

まずはビザの種類からざっくりと見て行きます。

就労ビザの種類

就労ビザには大きく分けてに種類があります。オープンワークパーミットと、クローズドワークパーミットと呼ばれるものです。

オープンはその名の通り、就労先がビザに書かれている風俗などの禁止条件に当てはまらなければどこででも仕事ができる最強ビザです。

これにはワーキングホリデービザも含まれます。(これが、ワーホリビザが最強と言われる所以です。)他には、永住権申請者が永住権が降りるまでの間に申請する就労ビザ、永住権所有者と結婚やコモンロー申請などをしてそれが許可されるまでに申請する就労ビザなどもここに当たります。

一方でクローズドワークパーミットは、ビザをサポートしてくれたその会社でしか就労ができません。基本的にクローズドワークパーミットで働く場合は、サポート先の会社にフルタイム(週30〜40時間の就労)で入ることになります。LMIAビザがここに当てはまります。

一般的な留学を見てみると、ワーホリビザでとりあえず留学、その先の滞在は一年もあればなんとかなるでしょう、と思いがちです。実際私もそのくらいの気持ちで試験を始めました。

しかし案外ビザに関しては簡単にはいかないものですし、申請が降りるまでのストレスは想像以上でした。

そしてビザに関しては他にも、ポストグラデュエーションビザ、コオープビザなどとても大切な選択肢があることを忘れてはいけません。

ここからは、いくつかのシチュエーションに分けてビザをおすすめして行きたいと思います。

カナダ人(永住権の人)の男性と結婚、コモンローパートナーになった

このケースがベストであり、私の友人の大半はこのケースでした。

カナダに市民権のある人か、カナダに永住権を持つ移民者(市民権はなくても永住権があればカナダで自由に滞在も仕事もできますが、5年ごとに更新で5年間のうち3年以上カナダに住むことが永住権維持の条件です。)このどちらかの方と結婚またはコモンローパートナーになると、相手は同じように永住権を与えてもらえます。

コモンローとは、結婚していなくても同じ住所に継続して1年以上住んでいる相手と結ぶことのできる関係性で、お互い結婚のように名前を変えたり戸籍を移したりなどの必要はありません。

これらのデメリットは、永住権がもらえるまでに10ヶ月以上かかるため、同時にオープンワークパーミットを申請し、先に仕事だけはできる状態にする、という必要があります。基本的にカナダ国内からの申請を選択した場合、日本に長期帰国するのは結婚やコモンローの申請が降りてからの方が良いとされているので、1年くらいは帰国できない可能性も考慮する必要があります。

単身カナダに渡るつもりでいる、30歳未満の方

そんな相手は今の所いないが、とにかく海外で挑戦して見たい、という方で30歳未満であれば、カナダのワーキングホリデービザを申請することができます。

しかし、ここでよく考えて申請をしてもらいたいのです!

ワーキングホリデービザは、たった一年の就労ビザであり、延長はできません。

そして薬剤師の実務実習には、就労ビザが必要です。

ですのでまずこの期間は、学生ビザとともに申請ができるコオープビザを申請することをお勧めします。

co-opビザとは、学校のプログラムの期間の最長50%まで、就労時間の制限も最長40時間まで許可してもらえるビザです。CP3はインターンシップも含めて6ヶ月間と提示されていますので、co-opビザを申請すれば3ヶ月のインターンシップをカバーするだけの就労ビザがもらえます。

私もこの制度を利用して、日本にいる間にビザの申請及び3ヶ月の座学をオンラインで済ませ、インターンシップ直前にカナダに入国し空港でco-opビザを取得しました。

こうして、インターンシップの間〜薬剤師の試験にある程度合格目処がたった頃にワーキングホリデービザを申請すれば、資格取得後にすぐ働くことができます。

もう一点大切なことは、Health care workerとして就労するのだということをビザ申請の時に絶対に申告してください!

薬剤師は採血や診断をするわけでもないので、いつも曖昧な立場に立たされがちですが、ここでHealth careではないと言ってしまうと手持ちのビザでは実務実習に行けなくなります。

この申告をビザ申請の際に行うと、健康診断を行う義務が発生します。

なかなか高価ですが、必要出費ですのでこの部分は絶対に間違えずに申請しましょう。

間違えてしまった場合は、Health care に関する領域では仕事をしてはいけない、という一文の入ったco-opビザを渡されてしまうので、もう一度カナダ政府にこの一文を消してもらう要請をし、カナダ政府から健康診断の指示が来たら素早く受診しましょう。そうすれば修正の入った新しいビザがもらえます。

カナダ政府からいつこの許可が下りるかは不明なので、最悪実務実習の開始が遅れる可能性があることも覚悟しましょう。

単身カナダに渡る31歳以上の方

ここからが、一番ビザで苦労する話になって来ますが、まず31歳以上でもコオープビザは申請できますので、先に述べたように学生ビザの申請と同時にコオープビザをHealth care workerとして申請、健康診断も受診して薬局で実習をするのに支障のないビザを取得しましょう。

カナダ人、永住権者のサポートがないことを前提として、その後できることとしては、

・ダメもとでポストグラデュエーションビザを申請してみる

・LMIAビザをサポートしてくれる就職先を探す

・ROワーホリに申請する

の3つが考えられます。

まず、ポストグラデュエーションビザとは、本来8ヶ月以上のプログラムを卒業した後の学生にもらえる就労ビザで、1-2年程度の就労を許可されます。

ダメ元というのはこの8ヶ月以上という部分です。CP3は6ヶ月のプログラムなので、本来はこの条件を満たしません。

なぜか申請が降りた、という話を耳にすることがあるので聞いて見たところ、UBCに依頼してException letterを添えて申請したとのことでした。

私は初めからこのプロセスを諦めたため詳しくはわかりませんが、ごく稀にラッキーな方にはこのようにいわゆるポストグラデュエーションビザ(PGWP、ポスグラビザともいう)が降りているようです。

次のLMIAビザというのは大まかにいうと、外国人労働者を雇わなければその会社には人手が足りない、だからこの外国人にビザを与えて欲しい、と会社と就労希望者が一緒に申請を行うビザです。

現在、薬局アシスタント(薬剤師ではなく、アシスタントとして)はこのビザを取得して1年以上就労につけば、その後の永住権申請で優先されるようになっています。この優先される職種は毎年入れ替わりが激しく、いつまで優先されるかわかりませんが、現状薬局アシスタントとしてビザのサポートを受け就労しながら薬剤師の勉強をする、がベストかと思います。

問題はサポートしてくれる就職先を探すのが難しいという点です。

インターンシップ中でも、自分のビザが切れてしまいそうだと思ったら、なるべく早めにサポート先を探すようにしましょう。

最後にROワーホリですが、こちらはいわゆるセカンドワーホリとも言われる、31歳以上でも申請できるオープンパーミットです。

セカンドワーホリといっても、申請にLMIAと同程度のお金がかかること、申請枠はワーホリビザよりも少ないことなどから、ROワーホリをあてにしてしまうのは危険です。ですが選択肢の一つとしてここではご紹介させていただきました。

まとめ

いずれもうまくいかない、そのような場合は一度手持ちのビザをビジターに変更し、さらに半年ほどビジターでの滞在を延長することで1年程度はカナダに滞在ができます。ですがその間就労ができないのは、インフラの深刻なカナダではかなり経済的に厳しいです。

飲食業界であればLMIAビザに慣れているお店も多いので、レストランでフルタイム就労をしながら薬剤師の勉強をするのも一つの方法かと思います。

この記事を見てくださっている方が、いずれかの就労ビザにありついて新しいキャリアを始められることを切実に願っております。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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