カナダでの試験や授業に追われて見落とされがちなことが、実務実習前のワクチン接種です。
日本では急性期の病院勤務のある私ですが、病院勤務時代に済ませたワクチンではカナダのワクチンの基準を満たしていないと言われ、20代も後半になって小児科にワクチンを打ちに行く羽目になりました。
ここではカナダで実務実習にでる前に必要なワクチンについてまとめていきたいと思います。
州によって違いがあるかもしれませんので、バンクーバーの位置するブリティッシュコロンビア州でのお話として参考にしていただければと思います。
ワクチンは当然、接種していい間隔、同時接種が可能なものや不可能なものがあるので、思い立ってすぐに済ませられるものではありません。
加えて、日本では取り扱いの少ないワクチンを求められることもあるので、日本にいながらカナダの実務実習を準備する方は、絶対に目を通して欲しいと思います。
Immunization Review
UBCの提供するCP3では、ワクチン接種歴を提出することが必須になっています。
以下の話は、UBCから出されている、CP3 immunization review instructionsという資料を元に説明していきます。
実際にCP3が始まると、この書類を記載して提出することになりますが、最新の書類に記載されているワクチンの項目は、
Covid -19、Tetanus/ Diphtheria – Toxoid 、Polio、MMR、Chickenpox、Hepatitis B、TB skin test result (もしも陽性ならばX線検査の結果も含む) とあります。
実にベーシックなワクチンばかりですが、各項目においてもう少し詳しく知っておく必要があります。
各種ワクチンについての情報
実際のImmunization reviewの切抜きを添えて、各ワクチンについてもう少し詳しく見ていきましょう。
まず、Covid-19についてですが、最低でも2回の接種歴の提出が求められています。
日本の方が推奨されている接種回数が多いと思いますので、免疫が万全であることに越したことはないですし2回以上の接種歴があれば追記で全て記載しても問題はないかと思います。
次に必要なのが破傷風、ジフテリア、百日せきのいわゆる3種混合ワクチンの接種歴です。
子供の時に5回の接種歴または大人になってから3回の接種歴があればYesとなりますが、注意してもらいたいのは、カナダでは破傷風は10年に1回追加接種が推奨されています。
10年以内に接種歴がないか、不明な場合は破傷風ワクチンの追加接種が必要になります。
私はこの履歴がなく追加で接種に行きました。
次にポリオワクチンです。
現在は不活化ワクチンに変わっておりますが、1990年代の生まれの場合はおそらく経口生ワクチンの接種歴があるかと思われます。
私の場合この生ワクチンでは、子供の時の5回の接種を満たしていない、と見なされてしまったため不活化ポリオワクチンの追加接種を1度だけ受けることで承認してもらいました。
次にMMRです。麻疹、おたふく風邪、風疹の混合ワクチンで2回の接種が求められます。
3種類のワクチンを接種していれば良いため、MRワクチンとおたふく風邪を別に2回ずつ接種していても問題ありませんでした。
次に、水痘ワクチンです。
病院に勤務歴のある私は、抗体検査なども過去にしてもらっていたので、水痘に抗体があることが確認できました。
生ワクチンのため、もしも接種しなければならなくなった場合、2回目の接種まで4週間待たなければならないので、早めの確認が必要です。
次にB型肝炎ウイルスの抗体およびワクチン歴について。
こちらも病院で抗体検査をしてもらっていたものを確認して提出しました。抗体がなかなかできにくいウイルスでもあるので、万が一の追加接種要請に備えてこちらも早めの確認をお勧めします。
最後に結核です。
これが最も時間を費やした項目だったのですが、その理由が、実務実習の開始前6ヶ月以内に必ず受けなければならず、かつなぜか皮膚テストを求められたためです。
T-spotやクォンティフェロン検査などの血液検査がほぼ主流の日本では、ツベルクリン反応検査をしてくれる医療機関を探すのに大変苦労しました。
私は運よく近くの病院で検査をしてもらえる、かつ英語が堪能な医師の方に対処していただき、他のワクチン接種歴についても母子手帳を持参して全てサインしていただくことができました。
説明にもあるように、MRワクチンや水痘ワクチンとは4週間開ける必要がある、という検査のためこちらも早めに済ませることをお勧めします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
これらのワクチン歴を一つ一つ記載し、医師にサインをもらってUBCに提出すると、UBCと連携しているStudent Health Serviceの看護師や医師から、不足しているワクチンなどについて連絡がくることになります。
わからなければこの医療従事者の方に直接連絡を取れば良いのですが、なにせワクチンによっては接種間隔なども考慮しなければなりません。
Evaluation Examに合格しCP3に申し込んだ段階から、自分のワクチン履歴を一度確認しても良いかもしれません。
カナダでは、予防接種に対する敷居は実に低く、ワクチンを打ちたいという人がふらっと薬局に立ち寄り、薬剤師の手が空いていてかつ在庫もあれば、すぐに薬剤師によってワクチン接種ができてしまいます。
対して日本では、病院から個人の小児科まであちこち電話をかけまくり、予約をとって医師に受診してようやく、しかもワクチンは任意なので全て自費、というお金も時間もかかるプロセスの一つになります。
早めにカナダへの渡航を考えている方は、むしろカナダでワクチン接種を済ませるのもいい方法かもしれません。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
後輩の皆様が、私のようにワクチン接種に苦戦することなく、実務実習を迎えられると良いなと思います。
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