バンクーバーの薬剤師に登録してもらおう!これが最後の試験!

カナダの薬剤師試験について

Jurisprudence Exam (JE) って何?

カナダで薬剤師になった、道産子薬剤師しまと申します。

これまで、カナダの薬剤師国家試験やインターンシップについてのお話をしてきました。

ここでは、各州に薬剤師として登録してもらうために合格しなければならない、Jurisprudence examに関してお話して行きたいと思います。

私が薬剤師のプロセスを始めた当時、このJEに関して詳しく紹介してくださっている薬剤師の方はほぼいませんでした。

ですのでJEの準備と言われても、具体的に何をどのくらい準備したら良いのか、手探りで勉強していたことを思い出します。

そもそも、なぜこのような試験が必要かというと、カナダでは州によって薬剤師ができることが異なるためです。

日本で例えるなら、各都道府県の薬剤師がその県でできることとできないことが決められているような感覚です。日本では、国家試験に合格すればどの都道府県でも同じように仕事ができますが、カナダはこの違いから、最低1度はどこかの州の試験を受け、州をまたいで引っ越した場合は、引っ越した先の州に届出を出す必要があります。

この、州ごとの法律の試験をJurisprudence exam、通称JEと言います。

これからご紹介するお話が、カナダで薬剤師を目指す方のお役立ち情報となれれば幸いです。

JEの難易度、タイミング

結論から言うとこれまでMCQ、OSCEと難しい試験をこなしてきた方には、JEは相対的にやさしい試験と言えます。

BC州では3時間で150問を解くことになります。

この試験で求められていることは、BC州の薬剤師はどのような行為が許可されていて、どのようなことはしてはならないかの判断基準を理解しているかどうか、臨床で倫理的な思考と行動を取ることができるかどうか、です。

なぜこの試験が相対的に簡単かと言うと、まず試験範囲が明確だからです。

どの州で受験をするにしても、その州のCollege(州の薬剤師をまとめている団体)のウェブサイトにいけば、JE用の勉強ページを提供してくれています。

しっかりとその範囲を勉強していけばまず間違いありません。

また合否に関しても明確ではないものの、全体的なできを見て最低限の得点以上を獲得していれば合格とするとBC州のcollegeにはあるので、合格率に関しても他の試験と比べて高いのが特徴です。

受験時期は決められておらず、MCQなどの試験を受ける前に受験しても構いません。

しかし実際の薬局でインターンをして初めて理解できる項目も多々出てくることと思いますので、少なくともインターンシップが完了してからの受験を強くお勧めします。

引き続き、試験の概要について詳しくお話して行きます。

JEの概要

薬剤師の判断や倫理的思考の試験、と言われても実際あまりピンとこない方がほとんどと思います。

BC州のcollegeには、実際にいくつか例題を載せてくれています。

例えばまず、麻薬を処方していいのは次のうち誰か、医師、看護師、薬剤師、歯科医師など複数選択肢から選択せよ、といった問題形式で、他の医療関係者から処方箋を受け取ったとき、その処方箋は受理してもいいものなのかどうかを考えさせられる問題が多いです。

BC州ではバーバルオーダーといって、医師の口頭指示で処方ができてしまう薬があるのですが、この口頭指示が許されているかどうかについても、薬ごとシチュエーションごとによく出題されます。

麻薬から一般処方箋までの口頭指示ができるかどうか、処方箋保管が必要か、誰が処方可能かなどをまとめた一覧表がBC州のcollegeのサイトにはあるのですが、この表をしっかりと覚えることが大切です。

他にも倫理的な判断を問う問題として、例えば避妊薬を購入したい患者さんに対し、避妊という行為に倫理的な抵抗を持っている薬剤師がいたとしたら、どのような行動をとったら良いか、といった問題がよく出題されます。

JEの勉強方法

BC州の場合、collegeのウェブサイトに勉強するべき項目のリンクが整理されているのでそれを活用すれば良いかと思います。

オススメは、リンク自体は一度覗いて見て、薬局に関すること、薬に関すること、薬剤師に関わる法律に関してはなるべく最後まで読んでおくことです。

なお、Covit-19に関する変更点を出題するか否かも同様に情報が開示されていますので、各州のStudy guideは要確認です。

勉強を進めると医師や看護師に関する法律も出てきますが、薬剤師と似たような内容だったり、薬局ではまず気にしないような内容が書かれていたりもするので、あまり時間を割かないように注意しましょう。

先にご紹介した一覧表、薬局の管理に関わることを薬局、病院、施設の薬剤師に到るまで全て丁寧に理解しておけば概ね問題ないかと思います。

一点だけ難しいと感じる点は、倫理に関する問題で使用される単語の難易度が非常に高い、という部分です。正直何を問われているかわからないレベルで難しい単語が使われているなと感じるほどでした。

これに関しては対策のしようがないので、基本的な行動概念だけでも一度collegeのサイトをチェックしておくことをお勧めします。

JEの受験上限と結果

受験上限に関しても州によって差があるようです。BC州では4回までとされていますが、回数無制限に受験が可能な州もあるようでした。

また結果発表に関しても、各州でかかる時間が異なります。

私の場合は2ヶ月ほど結果を待っていましたが、同日に結果が出る州もあるようです。

ちなみにもちろんオンラインでリモート受験も可能です。

まとめ

いかがでしょうか。

この試験が、カナダで薬剤師になるために必須な本当に最後の試験になります。

アドバイスとしては、とにかく州のCollegeサイトを有効活用すること、インターンシップに先に行ってから勉強をする、またはJEの勉強をしながらインターンシップに行くことです。

見慣れない英単語や、普段の意味とは異なる使い方をする英単語も多数出てくるので、出来ればメモを取りながら勉強することもお勧めです。

身構えすぎず、かと行って決して舐めてはいけない、十分に準備をしてのぞんで欲しいと思います。

引き続き、カナダの情報を発信して行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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