MCQとは、Multiple choice questionの略称で、PEBCというカナダの薬剤師の資格試験を管理している団体が行なっている、PEBC exam part1とも呼ばれているコンピューターでの試験です。
ここではMCQに関して少し詳しくみて行こうと思います。
MCQとは
まず、これまで記事にして来たEvaluation exam やDocument evaluationは言わずもがな外国人薬剤師が合格しなければならない試験でした。
しかしMCQは、たとえカナダでUBCやその他の大学のブリッジングプログラムではなく薬学部に通っている学生でも平等に受験しなければならない、日本でいう薬剤師国家試験の位置づけにあります。
全部で4時間半の試験で全部で200問(100問ずつ2セクション)が出題されます。
ざっくりと主題される範囲を説明すると、カナダで一般的な疾患に関する診断項目の概要、リスクファクター、選択薬、副作用、モニタリングすべき項目など臨床的な問題がほとんどです。
Evaluation examでは計算問題も出題されましたが、MCQでの計算問題は実務に絡むようなものがごくわずか出題される程度です。
難易度は、日本の薬剤師国家試験ほど細かいことは問われませんが、十分に試験の準備をしておかないと意外なところで失点、不合格になってしまう厄介な試験です。
ここからは私が実際にやって合格できた勉強方法や、注意点について見て行きたいと思います。
おすすめの勉強方法
MCQの準備をする学生は、大体がPharmachieveに登録するか、CTC(参考書)で勉強するかの二つに分けられるかと思います。
どちらにもメリット、デメリットがありますが、私はCTCでの勉強方法が合っていたと思います。
まず、上のリンク先のPharmachieveで勉強する場合ですが、コースを受講するか、Question bankという問題集のみに登録するか選択することができます。
どちらもEvaluation exam対策に比べて価格が高くなっており、コースまで受講するべきか、そもそもPharmachieveに登録するべきか、非常に悩むところです。
さて、コースに登録した場合は、たくさんの授業のビデオを視聴することができます。
この良い点は、授業のビデオが何度でも視聴可能なため、ビデオを一日中再生して勉強、疲れたらとりあえずひたすら聞き流す、というように視覚と聴覚で勉強することができます。
また、今後のOSCEに向けて薬の英語名などの正しい発音を授業を聴きながら確認することができるので後々役に立っても来ます。
反対に注意しておきたい点は、授業があまりにもよくまとまっている、ということです。
すなわち授業さえ暗記すれば何とかなる、と思ってしまうと、毎年出題傾向を変えてくるMCQに裏をかかれて、思っても見なかった問題で失点してしまうのです。
一方CTC(参考書)を使った勉強方法ですが、こちらは圧倒的に時間がかかります。
こちらが私の戦友のCTCです。辞書かな、と思うほど分厚い本なので一度目を通すだけでも時間がかかります。
その分細かく診断項目、選択薬などについて書かれているためこの一冊をしっかり勉強しておけば他の本を購入しなくても十分にMCQ対策ができるのかなと思います。
さてもちろん中身も英語なので、調べたい情報を見つけるのにも当然時間がかかります。そこで私がやって来た勉強法は、この参考書に色分けして書き込みをして行く、というものでした。
こちらが実際の写真です。
参考書でおすすめされている治療方法、対象患者などはなるべく明るい色で線を引き、反対にガイドラインで推奨されていない、禁忌である治療方法などは暗めの色で線を引くか、バツ印をつけることで、一目でその文章がポジティブな内容なのか、ネガティブな内容なのかわかるようにしました。
この勉強方法は、ノートを作ったときにも同様にしていて、後から復習するときに時間の節約になったなと感じています。
しかしこの勉強方法にも一点注意しなければならないことがあります。
それは、このCTCの参考書はのちにOSCEの対策中も使わなければならない、ということです。OSCEは必要な参考文献から必要な情報を短時間で見つけ出すスキルがとても大切になって来ますが、この色分けされた参考書ではそのスキルを鍛えることができず、容易に答えを見つけられてしまうのです。
結論として、参考書に書き込みをしてMCQ対策を行いOSCEはオンラインの文献アクセスに登録する、などが良いかと思います。
そしてもう一つ、私がやってよかったと思っている勉強方法が、UBCのCP3の授業内容を復習する、です。
CP3が終わって一安心して、以降全く使われていなかった授業プリントたちをMCQ直前に復習したところ何と本番で授業プリントで強調されていたことが出題されました。
当然UBCはたくさんの薬学生を輩出しているわけですから、MCQで押さえるべきポイントは授業でも教えてくれているはずです。
せっかく高いお金を払って授業を受けたのですから、これらの有効活用を強くおすすめします。
合否について
こちらの試験もやはり、明確な合格点というものはなくて全体の出来を見て合格不合格が決まります。
不合格の場合は、自分がどの程度合格まで届かなかったかフィードバックがもらえますが、合格した場合は何のフィードバックもありません。
5月と11月の年に2回開催されていますが、どちらも難易度は同じかと思います。
一般的に5月は、UBCの現地の学生さんが受験する傾向にあるようで、受験者が多いです。
受験にあたって、絶対に注意したいこと
PEBCの各試験は皆必死に勉強して臨んでいますが、その1番の理由は3回までしか受験資格がないからです。
日本の国家試験は何度でも受験可能ですが、MCQ、OSCEは3回不合格になってしまうとそれ以上受験することができません。
正確には、4回目のチャンスというものが必要書類を提出すれば受理されるのですが、それでも不合格になったらそれ以上先には進めなくなってしまうのです。
実際全てのチャンスで不合格になってしまい、薬剤師を諦めて帰国した人がいると聞いています。
さらに、PEBCの試験Part1のMCQとPart2のOSCEは3年以内にどちらも合格しなければ受験やり直しとなります。
そして、Document evaluation合格からも5年以上経過してしまった場合は再度書類審査を行うDocument re-evaluationの申請をしなければなりません。
また、MCQとOSCEを同時に受験していずれも合格できなかった場合は、MCQのみ次回受験の権利が得られて合格したらOSCEに進めるようになります。
5月の試験に失敗してすぐ同年11月に受験することは可能ですが、3回のチャンスというのは思いの外あっという間で、かと言って時間をかけすぎると3年、5年のリミットが過ぎてしまうため、なるべく一度で合格できるように毎回試験では全力を尽くさなければならないのです。
最後に
いかがでしょうか。
試験の合格基準の不透明さや、受験回数の制限などが絡んでここからのプロセスは俄然厳しくなります。もちろん受験費用もぐっと上がります。
ここまで来たらもう引き返せない、そう覚悟を決める時期がこのPEBCの試験かなと思います。
ちなみにMCQは現在日本でもリモート受験が可能です。しかも時差も加味してくれていて、日本にいても都合の良い時間が選択できると聞きました。
なるべく日本で貯金を作ってからカナダに渡りたい方は、リモート受験をおすすめします。またその際はお部屋の四隅からテーブル、椅子の裏まで徹底的にリモートの試験監督にチェックされるので、なるべく家具の少ない、静かな部屋で受験ができるように環境を整えておきましょう。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
引続きOSCEのこと、ビザのお話などを更新して行きたいと思います。
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