ここからは、カナダで薬剤師になるための最初の試験Evaluation examに関して説明していきたいと思います。
Evaluation examとは
通称EEと呼ばれるこの試験は、いわば6年間の薬学の基礎から臨床までの知識を幅広く問われるコンピューターベースの試験です。
PEBCの公式サイトをみると、
- Biomedical Sciences 15%
- Pharmaceutical Sciences 25%
- Pharmacy practice 50%
- Behavioural, Social and Administrative Pharmacy Sciences 10%
とありました。
全部で4時間25分の長い試験です。
筆記の問題はなくて、選択肢の中から正解を選ぶタイプの試験です。計算問題に関しては、コンピューターに備え付けられた電卓を使用することができます。
また、さらに細かい各分野で求められる知識やおすすめ参考書のリンクなどもPEBCのホームページに準備されていました。
この試験に合格すると、各州のBridging program、BC州でいうところのCP3に登録することができる、いわば大学入学試験のようなものです。
日本からでもリモートで受験が可能となりましたが、時差があるので慎重に日付を確認しましょう。
試験勉強
さて、私のEE受験当時はまだあまり情報が無いころだったので、同じく日本人でカナダで薬剤師をされている方のブログをたくさん参考にして以下の教材で勉強しました。
- Canadian Pharmacy Exams by Dr. Fatima
- Pharmachieve question bank
現在は色々な塾?が設立されており、試験対策として使用できる教材がかなり増えました。
ここではまず私がどのようにこれら教材を使用したか、今だったらどんな風に勉強するかを紹介していきたいと思います。
Text bookについて
ファティマさんの参考書は、随分と昔から出版されているようです。
こちらはキンドル版のリンクですが、本もカナダから取り寄せることができます。
使って見た感想は、
結構答え間違ってる。笑
それを修正するのに問題を深掘りして勉強する結果試験対策になる、といった感じでした。
また個人的な感想としてこの参考書は、本番の問題に近いものを当ててきているような気がしました。
ちなみにこちらの本は、よく検索するとVolume1と2があるのですが、私はどちらも購入したところVolume1と2のセットが2冊ずつ届いてしまいました。
つまりVolume1と2がセットで販売されているのに、商品名をvolume1、2という風にわざわざ変えて出店されているようなので、購入の際は内容物をよくご確認ください!
オンライン講座
PharmAchieveは数あるオンライン講座の中でも相当有名で、私がEEを受験した2020年当時からありました。リンクはこちらです。
EEからOSCE対策まで幅広いコースがありますが、お値段もそれなりにします。
当時の私はお金を使いすぎたくなくて、Question bankというオンライン問題集のみのコースに登録しました。
結果このQuestion bankで出会ったあらゆる問題を、一つ一つ納得するまで調べる、それをルーズリーフに残してオリジナルの参考書を作る、という方法で試験対策しました。
この問題集の良かったところは、携帯でもできるので通勤中でも仕事の昼休憩でも、暇があれば少しでも勉強ができたところです。
またひとつひとつの問題集が、分野ごとに細かく10問程度ずつたくさん分類されて出題されるので10分程度しか時間がなくても取り組むことができました。
そして気付かされたのは、ファティマさんの問題集だけでは圧倒的に足りない、ということでした。
おすすめの参考書
さて、これらの勉強方法でなんとかEEを通過することができましたが、現在の私がもし当時の私に勉強方法をおすすめするとしたら、以下の参考書を用意させることと思います。
- CTC
- CTMA
CTCとは、Compendium of Therapeutic Choices というカナダの薬剤師が必ず一度は勉強することになる参考書です。Canadian Pharmacists Associationというところから出ています。
あらゆる疾患のガイドラインとスタンダードな治療法についてわかりやすくまとめられていますので、Pharmachieveの問題で解説を読んでもよくわからなかった場合参考にすると良いと思います。
CTMAはCompendium of Therapeutics for Minor Ailmentsの略でこちらは市販薬で対処できる範囲のいわゆるマイナーな疾患、例えば一般的な風邪や鼻炎などについて詳しく書かれています。
EEの段階でこの本を深掘りされるような質問はなかったように思いますが、OSCEまでには一度目を通して置くことをおすすめします。詳しい内容は後ほどOSCEや実務実習に関する記事で説明します。
その他の参考書
この他に、EE以降も試験でお世話になるであろう参考書として
- CPS
- RxFile
などがあります。
CPSという本はカナダ版の治療薬マニュアルのような本です。お薬の添付文書がひたすら載っている本で、のちにOSCEで大活躍します。
Paper baseとComputerバージョンがありますが、OSCEでは本そのものが各ステーションで用意される訳ではなく、関連するお薬を抜粋したコピーが用意されます。
ですので形式になれることができれば、どちらのバージョンでも構わないかと思います。EEでは必要ありませんがOSCEまでにはやはり目を通すべきです。
しかし、なぜかEEでもMCQでも、CPSの序盤に付録としてついている、紫やピンクのインデックスのついた各便利機能についての問題が出題されることがありました。(当時CPSが何かもわからないままEEの準備をしていた私には、当然聞かれている問題の意味すらわかりませんでした。)
RxFileはもともと医者向けに出版された、細かい治療薬の比較表と各疾患の概要が記載されています。
こちらもEEで使用するには詳しすぎるので、MCQの試験対策の際に気になる方は購入してみると良いと思います。しかしやはりRxFileに関しても、参考書に関する問題の選択肢として練習問題に登場してきましたので、概要だけでもチェックすると良いと思います。
国家試験対策で使用した青本を基礎薬学の復習に使った、という方もいらっしゃいましたが、青本はEEで出題される問題よりも圧倒的に細かいため、時間に余裕があれば勉強すれば良いかと思います。
また、どの参考書を使用しても良いので、計算問題の対策として、最低でも一次式、二次式などの基本的な半減期の復習は絶対にしておくことをおすすめします。
合否と結果発表について
PEBCのサイトには、試験から最大5週間後までにはオンラインで結果発表を行う、とあります。得点は各自に知らされず、明確な合格点もありません。
合格率が50%程度と言われているため、受験者の上位から半分くらいに食い込めるような成績であればおそらく合格が狙えるものと思われますが、明確な基準がないためとにかく一生懸命準備をするしかありません。
もしも合格だった場合は、受験者の合格者のうちの上位何%で合格したのか、不合格だった場合でも同様に不合格者のうちのどの辺りに位置しているのかは、結果発表の際に知らされます。
まとめ
以上がEEの概要と勉強方法の例でした。
結論として、
Pharmachieveなどの専門のコースを受講しつつ、問題集で理解を深める、という勉強方法がいいのではと思います。
いかんせん合格ラインも点数も出題範囲すら明確ではない試験が最初の関門ということで、たくさんの人がここで苦労します。
この記事のお勧めが、少しでも参考になれば幸いです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
引き続き試験のお話、実務実習のお話などをして行こうと思いますので、もうしばらくおつきあいくださいませ。
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